2018-06-01から1ヶ月間の記事一覧
また此処へ、戻って来た。きみはどうしてるんだろう? 今でもきみは虚無と闘っているのだろうか。前にそんなことをきみが言っていたことをよく想いだす。 きみに告白すると、ぼくはきみに恋をして、初めての真剣な小説、天の白滝を書き始めて、そして違う人…
男が女と別れてから、約一年が過ぎた。ウェイターの男は今夜も、気付けばこの駅にいた。あの夜、彼女に会えると信じて降りたバルティモアの駅である。男はまるで夢遊病者か偏執病者のようにあのライブハウスへ赴く。そして演奏される彼女の好きそうな音楽を…
「それは疑いもなく固いもので、なんともいえない色艶をしていて、いい香りがする。それはおれじゃないあるものだ。おれとは別のもの、おれの外にあるものだ。しかし、おれがそれに触れる。つまり指を伸ばしてつかんだとする。するとその時、何かが変化する…
「みんなおはよう。ってもう終了時間まであまり時間はないが」 先生がしんどそうにそう言うと静かに席についているベンジャミンが真っ直ぐに先生を見つめて言った。 「先生、もしかして今日も、二日酔いですか?」 先生は恥ずかしがる素振りも見せずベンジャ…