2018-12-01から1ヶ月間の記事一覧

夜明け前の声

今日で父が死んでから15年が過ぎた。 毎年、この命日に父に対する想いを綴ってきた。 人間が、最愛の人を喪った悲しみが時間と共に癒えてゆくというのはどうやら嘘であるようだ。 時間が過ぎて、父を喪った日から遠ざかってゆくほど喪失感は深まり、この世界…

全ての者が眠っていて、唯一起きているのは nur das traute hochheilige Paar.

今日はクリスマスイブ。僕が小学二年の時のChristmas Presentは夜と霧という本だった。父に買って貰ったのだ。当時、僕も父も、その内容を知らなかった。僕は布団の中でその晩、震えながら読んだことを憶えている。明治元年の話だ。勿論、夜と霧はその後の話…

この闇のなかに

こんな風に、独りで年を取ってゆくのは堪えがたい。そんなことを言ったって、仕方がない。そんな人はこの世界にごまんといるじゃないか。ぼくが堪えられないはずはない。何故ならぼくは神を愛している。神を愛しているなら、堪えられる。どんな苦しみにも。…

天使の悪戯

朝が来ない町。あの門を抜けて、彼らに着いてゆく。白い闇と灰色の闇と黒い闇。巨大な高層図書室の階段を降りてゆく。最上階は深海の底より遥かに深い地下にある。すべての本を調べ、自分の暮らしたい時間を選ぶ。堀当てたトンネルへ入ると十字路に行き当た…