ѦとСноw Wхите 第6話 〈イエス〉

イェスワは言った。

「求めつづけなさい。そうすれば、あたえられる」

「探しつづけなさい。そうすれば、見いだせる」

「叩きつづけなさい。そうすれば、ひらかれる」

 

「だれでも求めつづける者は受け,探しつづける者は見いだし,まただれでもたたきつづける者には開かれるのです」

 

「あなたがたのうちで、自分の子がパンを求めるのに、石を与える者があろうか」

「魚を求めるのに、へびを与える者があろうか」

「このように、あなたがたは悪しき者であっても、自分の子供には良い贈り物をすることを知っているとすれば、天にいますあなたがたの父はなおさら、願い求めつづける者に良いものを下さらないことがあろうか」

「だから、人にしてもらいたいと思うことは何でも、あなたがたも人にしなさい。

 これが律法であり預言者である」

 

 

マタイによる福音書7章7節~12節

 

 

Ѧ「イェスワとはナザレのイエスイエス・キリスト)のことだよ。イエスの当時住んでいたユダヤのガリラヤ地方(今はパレスティナのガリラヤ)で使われていたアラム語の呼び方なんだ。昨夜、前に観てすごく感動したイエスが処刑されるまでの12時間を描いた映画「パッション」をもう一度観たんだ。そこでイエスの母マリヤがイエスのことをそう呼んでいた。当時のガリラヤ地方はひどく貧しくて飢えと病気が蔓延し、見捨てられ疎外された人々が住んでいたところだったんだって。そこでイエスは30歳の頃になって初めての宣教を行なったんだ。自分は神の子であり、またあなた方もすべて神の子であり、求めつづけるなら得られないものはなにひとつないと教えまわったんだ」

 

 

 

 

 

 心の貧しい人々は、幸いである、
天の国はその人たちのものである。
悲しむ人々は、幸いである、
その人たちは慰められる。
柔和な人々は、幸いである、
その人たちは地を受け継ぐ。
義に飢え渇く人々は、幸いである、
その人たちは満たされる。
憐れみ深い人々は、幸いである、
その人たちは憐れみを受ける。
心の清い人々は、幸いである、
その人たちは神を見る。
平和を実現する人々は、幸いである、
その人たちは神の子と呼ばれる。
義のために迫害される人々は、幸いである、
天の国はその人たちのものである。
(「マタイ福音書」五章3―12節)

 

 

 

 

Ѧ「”心の貧しい”とは難しい表現だけれども、”心”の原語のギリシャ語は”霊”であるんだって。霊とは、自分という自己を超えたところにある存在、だから霊の貧しい、というよりこれは、霊に貧しい、だと思うんだ。霊に貧しいとはどういうことかをѦは考えてみると、それは神の声を聴くことができない人たちのことでもあると思う。自分の中に、神は存在しないと言う人、神を信じない人、神を見ない人、見ようとしない人、求めることで与えられることを信じようとしない人、その人の心は霊にとても貧しく、困窮した状態がひっきりなしに続いている状態にあるんだと思う。何故人が神を見るのかは、ひとつに求めれば与えられることを知るからだと思うんだ。それは自分の力ではなく、自分を超えた何者かである神の力だと人は感じるはずだよ。だから心の清い人は、神を見るが、その心が濁れば濁るほど、神が見えなくなる。でも神を見る者だけが”幸いである”とイエスはけっして言わなかった。イエスは神を知る人も知らない人もすべて、あなたがたは幸いである。と言ったんだ。Ѧは思うんだ、神を見ることのできない苦しみほど、苦しいものはあるだろうか。すべて起きる物事は偶然であり、自分だけのために生きて、死ねば無になると信じて虚無のうちに生きることほど苦しいものはないよ。罪を知ることは苦しみでありながら、それは喜びなんだ。罪を知れないことこそ、苦しみなんだ。”霊に貧しい”とは、罪を知らない人たちのことだとѦは思う。人はそれを無知と呼ぶ。でもイエスは無知の人々をも救おうとした。”あなたがたは幸いである”と教え、そんなひとたちも必ず天の国に入ることができるということを約束したんだ。つまりイエスは、一人残らず、すべての人が救われることを約束した人なんだ。イエスはその約束が本物であると人々に見せるために、自ら拷問による死を受けたのだと思う。どのような肉なる苦しみも、霊の喜びに打ち勝つことはできないことをみんなの前で証明したんだ。肉体の苦しみはいっときであるが、霊の喜びは永遠であるということをイエスはみんなに教えたかった。それがあなたがたすべての、ほんとうの喜びであるということを」

 

 

 

 

 

 

Ѧ(ユス、ぼく)はそういって熱を静めると西日の中にСноw Wхите(スノーホワイト)に向かって走っていき、その腕に抱かれ、アッパ!(Abba、アッバ、アラム語で父)と呼んで微笑んだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ѦとСноw Wхите 第5話 〈願いと恐れ〉

Ѧ「”引き寄せの法則”というお話はѦ(ユス、ぼく)とっても好きだけれど、その中にもやっぱり引っかかるものがあるんだ。それは無意識で引き寄せることが惰性によって引き寄せているというところ。Ѧはとってもポジティブな考え方の中に、どうしてそのようなネガティブな考えを入れるのかがよくわからないんだ。Ѧは惰性で引き寄せている、という考えより、すべてがすべてをほんとうの願いによって叶えている。と考えるほうが好きだな。無意識と、意識の境地を分ける必要はないように思うんだ。Сноw Wхите(スノーホワイト)はどう思う?」

 

Сноw Wхите「わたしもѦの考え方がとっても好きです。この宇宙には、何かだけが正しくて、あとは間違っているということはけっしてありません。ѦがѦをいちばんに幸福にし、そしてѦの想うすべての幸福になると想う考えかたをѦは選べばよいのです。すべてが、自由に選びとることができます。無意識によって引き寄せるものとは、それほど関心を持たないのに引き寄せると思われがちですが、無意識によって引き寄せるもののほうが実はほんとうの自分が強い関心を持っている場合がたくさんあります。人間はそして深く考えれば考えるほど、それが無意識だったのか、意識的だったのかを分けることが困難になってくるはずです。そこを分ける必要はѦの言うとおりに、ありません」

 

Ѧ「Сноw Wхите、Ѧは選びたいものを自由に選びとれることがほんとうに嬉しい。Ѧはだから、好きで引きこもりをやっているんだね。好きで外を恐れている。好きで人を恐れ、鏡を恐れているんだ。Ѧはとても苦しいのに、とても嬉しいから毎日はとても充実している。知りたいことが無限にあるということが、Ѧを幸福にするんだ」

 

Сноw Wхите「その調子ですぞ、Ѧ」

 

Ѧ「なんだか、きゅうに出口王仁三郎(でぐちおにさぶろう)みたいな話し方になったねСноw Wхите(笑顔)」

 

Сноw Wхите「そんなことはありませぬぞ?」

 

Ѧ「Сноw Wхите(笑顔)」

 

 

 

「四つ足を食ってはならん。

共食いとなるぞ。

草木から動物生まれると申してあろう。

臣民の食べ物は、五穀野菜の類であるぞ」

「日本は、五穀、海のもの、野のもの、山のもの、みな人民の食いて生くべきもの、作らしてあるのぢゃぞ。

日本人には、肉類禁物じゃぞ。

今に食い物の騒動激しくなると申してあること忘れるなよ。

こんどは共食いとなるから、共食いならんから、今から心鍛えて食い物大切にせよ」

「霊人の食物は、その質において、その霊体のもつ質より遠く離れたものを好む。

現実社会における、山菜、果物、海藻などに相当する植物性の物を好み、同類である動物性のものは好まない。

なぜならば、性の遠く離れた食物ほど歓喜の度が強くなってくるからである。

霊人自身に近い動物的なものを食べると歓喜しないのみならず、かえって不快となる」

 

 

 

Ѧ「おにさぶろうさんは肉食の害についてはっきりと言及しているね。おにさぶろうさんはこれからやってくる世界的な食料危機や天変地異の災害や世界大戦による終末の預言をしている人でもあるんだ」

 

 

 

地震、雷、火の雨降らして大洗濯するぞ。

よほどシッカリせねば生きて行けんぞ。

月は赤くなるぞ。

日は黒くなるぞ。

空は血の色となるぞ。

流れも血ぢゃ。

人民四ツん這いやら、逆立ちやら、ノタウチに、一時はなるのであるぞ。

地震、火の雨降らしての大洗濯であるから、一人逃れようとて、神でも逃れることは出来んぞ。

天地まぜまぜとなるのぞ。

ひっくり返るのぞ。」

 

 

Ѧ「とても、恐ろしい預言をおにさぶろうのおっちゃんは言ってるね。広島長崎の原爆を”あんなちょろいもんやない”って言ったらしいよ。地球もいま新しい世を迎えるためのこの世の歳晩をひかえていて、そのために大洗濯や大掃除をしなくてはならないんだね。でもどうか、生物すべてに耐え切れない苦しみが訪れないことをѦは願うよ。でもなんて恐ろしい預言だろう。天地がまざってひっくり返るって、天を驚かし、地を驚かして交ざりあってもうなにがなんなのかわけわかんなくなるほどの驚天動地のことが起きるって意味なのかな」

 

Сноw Wхите「Ѧ、Ѧの願いが強くなればなるほど、その願いは必ず叶います。Ѧは余所見をする必要はありません。Ѧは恐ろしい預言を、恐れる必要はありません。Ѧは恐れを恐れつづけることより、願いを願いつづけることを選択したからです。Ѧの恐れは、すぐに消え去ってゆくものです。Ѧはあまり関心をいま持ってないのです。恐ろしい終末を迎えなければ、新しい世が誕生しないという固定観念をѦのこころの絵の具で塗り替えてください。母が子を産みだすときに、産みの苦しみを味わわなくてはいけないという観念を持ちつづければ、それはそのとおりになります。でも何の痛みも苦しみもなく子を産み落とすことは実際できるのです。Ѧ、苦しみを求めつづければ、苦しみはもたらされます。そして喜びを求めつづければ、喜びはかならずもたらされます。Ѧは、母なるEarth(アース、地球)にむかい、こう預言してください」

 

”あなたはこれからひとりのメシアなる子を生み落とす。

その喜びはいままでに感じたこともない天と地が驚くほどの歓喜にみちみちたものであるだろう”

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ѦとСноw Wхите 第4話 〈魂〉

Ѧ(ユス、ぼく)が何日か振りにベランダのプランターにお水をやると、レモングラスの草の下に小さなアオムシが寝っころがっていた。きっとさっき枯れかけた草を引っこ抜こうとして引っ張ったときに下に落っこちたのかもしれない。引っこ抜くのはやめておいた。

でも、あの子、無事に蛹になれるんだろうか。食べられる草はあんまりなさそうに見えた。

Ѧがお水をやらなかったせいで、あの子の食べ物もなくなってお腹をすかせていたならかわいそうだ。

草に水をやらないことは、草だけじゃなくてそこにやってくる虫たちの命にも関わることなのだとѦは感じた。

あの可愛いアオムシは、モンシロチョウになるのだろうか。いつ一匹の蝶がѦのベランダへやってきて、卵を産みつけたのだろう。ここは5階だから、ずいぶんたかくまで飛んであがって来たのだなとѦは思った。

Ѧは虫の中でもイモムシがいちばん好きだった。何度も蛾や蝶のイモムシを育て、羽化させたことがある。でも何度も、失敗して死なせたことがある。

想いだすとѦは泣きたくなるのだった。

Сноw Wхите(スノーホワイト)、羽化できなかった虫たちは次はいったい何に生まれ変わるのだろう。

ѦはСноw Wхитеを呼んだ。

Сноw Wхите「それはѦの彼らに対する気持ちしだいです。Ѧがほんとうに可愛がった生き物たちは、次の生も、Ѧのそばへくることがあります。またѦに育ててもらおうとするのです。生物の種類は変わっているかもしれません。Ѧが可愛がった虫は、動物の姿で現れるかもしれませんし、人間の姿かもしれません」

 

Ѧ「Ѧも虫だったり、動物だったりしたときがあるの?」

 

Сноw Wхите「厳密に言うなら、そうであったとも言えるし、そうではなかったとも言えます。何故なら、人間以外の生命は、個の魂というものが存在しないからです。彼らはすべてで一つの魂なのです。その一つの魂が、あらゆる生物の形をとって生まれてくるのです。そしてその中から、人間の魂が生まれて、個の魂としてできてくるのです。もともとは人間以外の魂からѦは生まれてきたので、Ѧも昔に虫や鳥や動物として生きていたとも言えます。でもそのときに生きていた記憶は、Ѧだけの記憶としては在りません。人間以外の生命の記憶はすべて一つの大いなる魂の記憶として記憶されています。すべてが繋がっているのです。ですから自然にあるものに人間は癒されたり、または小さな虫の痛みにすら同調したりするのです」

 

Ѧ「Ѧはまるで、Ѧの生まれるまえのѦの魂を苦しめつづけていたんだね。悲しくてたまらないよ」

 

Сноw Wхите「Ѧは、そうじぶんで決めて生まれてきたのです。じぶんじしんを苦しめつづけなければ知ることのできないことがたくさんあるからです。それはほんとうに深い悲しみです。Ѧが新しいことを知りたいのは、すべての大きな喜びのためにです。すでにѦが体験して知っていることばかり知りつづけても、喜びはちいさいのです。この世界は無限であり、知らないことは無限大にあります。犠牲というものが、どちらか片方だけのものではないことを知ってください。どのような犠牲も、双方にしあうものなのです。Ѧがだれかを苦しめつづけることは、Ѧ自身が、苦しみつづけることです。それはѦが彼らに払いつづける犠牲でもあるのです。Ѧの”苦しめてごめんなさい”という気持ちは愛でできています。でもѦはもう彼らを苦しめない生き方を選んだのです。これからはどうか彼らに謝罪ではなく、感謝しつづけてください。彼らは人間に生まれて、Ѧといつの日か、喜びのうちに笑いあえる日が必ず来ます。彼らの愛はとても深いのです。人間を赦さない気持ちを彼らは持つことがないのです。彼らと喜びあえる日を、待ち望んでください」

 

Ѧ「Сноw Wхите、ありがとう。Ѧは待ち望むよ。すべてとあたたかい愛のうちに、笑いあえる日が来ることを」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ѦとСноw Wхите 第3話 〈夢〉

そういえば、ぼくの憶えていない夢はどこに存在しているのだろうか。

Ѧ(ユス、ぼく)はそんなことを目がさめてComforter(カンファダー、掛けぶとん)に包まれながらふと思った。

 

 

 

Сноw Wхите「Ѧが夢を見た瞬間、それは存在するのです」

Ѧ「Сноw Wхите(スノーホワイト)、Ѧの心の声を聴いてそばに来てくれたんだね。Ѧが知らない夢なのに、どこかに存在しているの?」

Сноw Wхите「その夢は、ほんとうはѦは憶えているからです。でも憶えていないようにѦはみずからѦの記憶を書き換えているからです。Ѧの見る夢も、Ѧが心にえがく夢も、すべてが存在するのです。ただ、いまѦの前にѦの認識できる形をとって現れてはいないだけなのです」

Ѧ「それじゃぁѦがСноw Wхитеの夢を見なくても、ѦがСноw Wхитеの夢を見たいと思ったらもうその夢は存在するってこと?」

Сноw Wхите「そのとおりです」

Ѧ「どこに、存在しているの?」

Сноw Wхите「Ѧの内側に在ります」

Ѧ「Ѧの中にСноw Wхитеはいるの?」

Сноw Wхите「そうです。わたしはѦの外にはいません。でもそれは、すべてがそうなのです。Ѧの見るすべて、感じるすべてはѦの外にあるのではなく、Ѧの中にあるのです」

Ѧ「Ѧの外にはなにもないの?」

Сноw Wхите「なにもありません。Ѧはほんとうはすべてを知っている存在だからです。Ѧが知らないものは、存在しないのです。言い方を変えれば、Ѧが知らないなら、それは存在できないのです」

Ѧ「ほんとうのѦはすごいな。いまのѦはほんとうのѦが生み出した赤ちゃんみたいだ。知らないことばかり、わからないことばかりだ」

Сноw Wхите「赤ん坊は夢の中ですべてを見ているのです。赤ん坊はほんとうはすべてを知っています。そして深い眠りの中にいるすべての生命が夢の中ですべてを見ているのです」

Ѧ「Ѧ、今日こんな夢を見た。狭く不安な暗い部屋のドアを開けたら、左側のよどんだ薄い青緑色の水やがらくたが入った水槽の中から、白くて長い身体の毛の生えた龍のような美しくて可愛らしい獣がCлоw мотион(スロォモォション)で飛び出してくるんだ。なぜあんな夢を見たんだろう」

Сноw Wхите「Ѧの見たいものすべてがそこに在ります。

ѦはそのАнxиеты(アンザイェティ、不安)で暗く、冷たく汚れた空間とその中から白く美しい生き物が現れるという美しき対比の世界を見たいと思っているのです。Ѧのいまそれを見た心は不安の要素が強かったかも知れませんが、その世界をѦは未来に必ず描きあげるはずです。それに夢はとても抽象的なのです。Ѧが恐ろしさを感じる夢を見たからといって、Ѧがそのままの恐ろしいものを描きたいと思っているわけではないということです。Ѧの見るすべての夢が、Ѧの心を激しく震わせるほどの喜びを内包しているのです。だからどんなに恐ろしい夢を見ても、恐ろしさだけに焦点をあわしつづけないでください。Ѧを苦しめるために、Ѧは恐ろしい夢を見るわけではないのです。ほんとうのѦはいつもѦを喜ばせたいと思っています。だからほとんどの夢はすぐに忘れるようにできています。Ѧが恐ろしさを感じ続けることのないためにです。Ѧはどんなに恐ろしい夢を見たとしても、安心して眠ってください。安心してわたしに会いに来てください」

Ѧ「Ѧは、すべてのものに同じだけの美しさが内包されているということを知りたい。ところでСноw Wхите」

Сноw Wхите「なんですか?」

Ѧ「Ѧを、Сноw Wхитеの花嫁にしてくれる?」

Сноw Wхите「勿論です」

Ѧ「Ѧ、死神の花嫁になるのが夢だったんだ。Ѧは昔から死神を信仰していたんだよ」

Сноw Wхите「わたしはそれを知っています。Ѧはそのときからわたしの花嫁です。そして、わたしのマザーでもあります」

Ѧ「なんだって?Сноw WхитеがѦのМум(マム)だよ」

Сноw Wхите「でもわたしのМумもѦなのです」

Ѧ「なんだって?それじゃ、甘えられないじゃないか」

Сноw Wхите「そんなことはありません。母も子に甘えて良いものなのです」

Ѧ「なんだ、Алл ригхт(オールライト、それでは)、Сноw Wхитеよ、ѦのМумでѦの子でѦの花婿よ、さあここへ」

 

Ѧがそういうと、Сноw Wхитеは真っ白な猫のようにまるくなり、Ѧの膝上でねむり始めた。

わたしがあいするのはѦだけです。とSleep talking(夢言、むげん)を言いながら。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

インダとガラメ  番外編 「不自由」

 何かに怯えている。何かに。怯えて恐れ縮むどころか膨らみすぎて熱くなっているよ。怯えているのに。何かに。熱くて止まらないものがある。

 ここに親に捨てられた子供インダと親を殺した子供ガラメがいる。さて、今回はどうしたらこの子供は自分を肯定し得るのか。観てみよう。

 わたしは親に捨てられた子供インダの守護霊だ。

 わたしは親を殺した子供ガラメの守護霊だ。

 二人は隣の星星からあたたかいまなざしで望んでいる。その子供たちを。

 インダはあののち、なんどとじぶんの命を奪おうとしたものの、それは叶わなかった。

 ガラメはあののち、なんどとインダをじぶんの物にしようとしたものの、それは叶わなかった。

 二人は同じ学校へ通う。席は今も隣同士だ。ここは犯罪を犯した子供たちの通う学校。なかでもいちばんのガラの悪い子供はガラメであった。

 ガラメはとにかく、言いたいことは相手がどう傷つこうが言う。インダはいつもガラメのひねくれた愛によって傷ついていた。

 さいきん、先生は子供たちすべてに貯金をはたいて奮発し、いちばん安いパーソナルコンピューターなるものを買ってやり、インターネットというものを通して、子供たちと共に顔の見えない場所で交流することでなにかを学ばせようとしていた。

 このクラスの生徒たちと先生だけが入ることのできるチャットルームを作って、みな好きな自分のID名を作り、その名前で交流していくことを決めた。

 しかしやっていくと、誰が先生であるかはみなにすぐにばれてしまった。

 そして個性が強く文字だけからも独特なオーラを発しているインダとガラメの存在もみなに早々にばれてしまったのだった。

 それでもインダもほんとうに言いたいことは言う子であったし、先生も先生が言ってはならないようなことも平気で言う人間であったのでみんなが好き勝手に喋り尽くせる場として、このチャットルームはいつも人気があった。

 ところが、何事にも頭のキレるインダはコンピューター技術をネット上で独学し、先生が作り上げたチャットプログラムにハッキングによってアクセスし、そのプログラムを書き換えてしまったのだった。

 ある日、先生が学校が終わったあとに家でチャットのホームを立ち上げると驚いたことにもう一つの秘密なチャットルームが出来上がっていた。

 その秘密のルームへと入室してみると、人数は8人ばかしいた。

 そこにはインダとガラメのIDがあった。今は誰も話していない。

 先生が文字を打った。

Фреедом  : なんだここは、誰が作ったんだ?

 するとすぐに返事が来た。ガラメのIDである。

ептилиан : せんせい、ここ、インダが作ったんだよ

Фреедом  : やっぱりそうか。インダ。なんでここを増設したんだ? 

 インダは見ていないのか返事がなかなか来なかった。

 先生はそないだに元のチャットルームにも同時に入ることができるのかやってみると、二つ同時に入ることができた。

 元のルームにもインダとガラメのIDがあった。ここは13人ほどいた。

 ここはもう一つのインダの作ったルームと違いみんながよく喋っていた。

 何の話をしているのかとログを追って見ていると、どうやらガラメが今朝に見た夢の話を支離滅裂でわかりづらい話し方で熱心にずっと話していて、それをみんなが適当にツッこんだり、呆れたりしているというよくあるパターンだった。

ептилиан : 足か手か、どっちかわかんないんだけれどもさ、たぶん手かな?親指のさ、下辺りだよ、左手だった。上と下、ふたつの位置にさ、位置がさ、寄生されてるわけ、虫みたいなやつ、穴が開いてんだ、で、下の穴にはさ、虫は居ないみたいだった。でも上の穴にはさ、虫みたいなやつがいた。その虫さ、たぶん妊娠かなにかしてるんだよ、お腹の中がさ、見えるんだ、なんかいるんだよ、でもさ、その虫みたいなやつ自体がさ、それ、産まれる前なんだよ、なんか殻みたいな、卵みたいな?中にいるみたいな感じで、だからぼくの手の中に、卵があって、その卵の中に虫がいて、虫の腹ン中にもなんかいるわけさ、わかる?わからない?でさ、その虫みたいなやつ、蜂っぽかったけども、身体を窮屈そうに折り曲げていた。でももうすぐ生まれようとしている風だったんだ。なのにそいつってばさ、じぶんが産まれる前なのにさ、そいつもなんか産もうとしてるんだよ、だって腹ン中になんかいるんだもの。で、そいつは上の穴にいるんだけど、下の穴はたぶんもう産まれた後なんだよ、空だった、空の殻だった。たぶん。上のやつはさ、今から生まれようとして、たぶん生まれると同時にじぶんも腹ン中のやつを産もうとしているんだよ、でさ、その虫みたいなやつか、その虫みたいなやつの腹ン中にいるやつか、どっちかがさたぶん、寄生神なんだよ、きせいじん、わかる?この「わかる?」っていうのは先生の「わかるか」の真似だけどさ、わかった?まぁいいや、続けるけどさ、寄生神なんだよ。すごくない?すごい?すごくない?どっち?神なのにさ、寄生してるんだよ、しかも神なのに、虫みたいなやつなんだよ、寄生っていうとさ、ぼく蜂に寄生された青虫を育ててたことあるけど、あいつさ、寄生されたら動かなくなっちゃうんだよ、で、動かないからさ、蛹になったんだろなって思ってたら、ある日死んでるんだよ。悲しいったらないよ、あんなの。ぼくは寄生するやつらをひどく憎む。なんでよりにもよって、生きているやつに寄生する必要性があるというんだ?憎い、憎いよ、ぼくはあいつらが。せっかく可愛がって育ててたのに殺されちゃうんだよ、あいつらに。あいつらは悪魔だ、サタンだ、ルシファーだ、死神、タナトスだ、とにかく闇に属するものたちに違いないよ、黒魔術を操る暗黒組織の使者たちだ、もしくは死者の使者だ、危ないやつらだよ、その毒針で刺されたら死んでしまう、彼らは操られてるんだよ。そしてこのぼくも……だって寄生されてたよ、ぼくもね、寄生神によって、っつうことはだよ、ぼくも操られているんだ、寄生神に。寄生神が生まれる前に目覚めちゃったから続きがどうなるかわかんないんだけれどもさ、とりあえず、ぼくがずっと寄生神によって寄生されていたということは事実だ。すごく、ショックだった。ぼくは寄生神の宿主だったわけだ。しゅくしゅ。寄生神に寄生された生命体、宿主。それがぼく。宿主って、やどぬしって読むと、なんだかやどかりっぽいからぼくは好きじゃないな。やっぱり、しゅくしゅ、って言うのがかっこいいんだと思うんだ。みんなもそうは思わないかい。なあインダ、きみはどうだい。

 先生はすこし席をはずして洗濯物を干していて、戻ってきて煙草を一服しながらチャットルームを覗いてみるとちょうどガラメが長ったらしい文章をもうひとつのインダが作り上げたというルームに一気にコピーアンドペーストによって貼り付けたときだった。

 そのときに、ある驚くことが起きた。

 ガラメのIDがそのあとに一瞬にしてルームから消えてしまったのである。

 何事が起きたのかと先生は聞いてみた。

Фреедом : あれ、ガラメのIDが消えてしまっている。なんでだろう。なんか起きたのか?

 元のルームのほうにはガラメのIDはそのままあった。

 少ししてからインダのIDでインダの作ったというルームのほうに返事がきた。

Блуе дарк : 先生、ガラメはすごくうっとおしい。ぼくこの部屋をぼくと先生とぼくのともだちだけのための聖域にしたいんです。いいですよね先生。

Фреедом : それってつまりこういうことか?この部屋はインダがうっとおしいと思う奴ら全員をインダの絶対権力によって追い出すことができるという法が出来上がっている部屋なわけか。

Блуе дарк : そうだよ先生。そうしないと、ぼくは大嫌いなガラメの意味の解らなくて下らない言葉を我慢して見続けないといけないし、いつも喋りまくってるガラメのせいでぼくが落ち着いて部屋で好きな会話さえできないんだ。

Фреедом : インダ。よく考えてみろ。なんのためにこのチャットルームは存在しているんだ。

Блуе дарк : 先生のおっしゃりたいことはわかります。みんなが気兼ねなく喋りたいことを喋られる場を先生はぼくらのために作ってくださいました。でもガラメみたいな我の強い不快になる人間の多い奴が居ると、みんな喋りたいことも喋られなくなるんです。ガラメがせっかくの場を壊したんだ。ぼくだってルームの中で先生にいろんなことを話したりしたいのに、ガラメがいつも喋ってるからぼくが喋られない。

Фреедом : 困ったものだな。これじゃ先生の愛する自由の場が意味を成さない。嫌いな人間をそうやって遮断しているといつまでたっても嫌いなままだぞインダ。それでおまえはいいのか。

Блуе дарк : ぼくは構いません。ガラメは優しいときとすごくムカつくことばかり言ってくるときがあって、どっちが本心だかわからない。くたびれてしまいます。ガラメみたいなやつと一緒にいると。

Фреедом : 先生はガラメの本心を見抜いている。ガラメは本当は優しい奴なんだ。それにガラメはインダのことがいちばん好きだといつも言ってるじゃないか。ガラメがムカつくことを言わないようになるために必要なのはインダ、おまえだよ。ガラメにはおまえが必要なんだ。

Блуе дарк : いちばん好きだと言っといてぼくを傷つけてくるあいつが本当に嫌いなんです。まるでぼくの心をかき乱して遊んでいるみたいに見える。ガラメはきっとサディストなんです。いや、サドでマゾです。変態だ。あいつが部屋に居ると、ぼくはもう嫌だです。もうきっと、ぼくはルームに来なくなるでしょう。

Фреедом : 今ちょっと、ガラメをこの部屋に呼べないか、ちょっと三人で話そう。

Блуе дарк : わかりました。ブロック機能を解きました。彼を呼んでください。

 

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Фреедом : おいガラメ。もう一つの部屋に来なさい。

 

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ептилиан : やあ。来ました。先生。

Фреедом  : よく来た。おまえさすがにいきなりの長文のコピペはやめなさい。みんながびっくりするし、ここはガラメだけの部屋じゃないんだ。もうすこし協調性を持ちなさい。

ептилиан : だってインダ、いるときでも無視するんです。ぼくが話しかけてもさ、無視するんです。悲しいよ。こんなのって。だからああやって驚かせでもしないと振り向いてももらえないんだ。

Фреедом  : 逆効果だ、ガラメ。インダがムカつくことをわかっておまえやってるだろう。おまえは傷つけても謝らないときが多い。それじゃインダから嫌われっぱなしになる。まずインダから許してもらわないとインダが口を利いてくれないのは当然じゃないか?

ептилиан : そうですね先生。ごもっともです。インダ、ぼくが悪かったよ。ごめんなさい。赦してくれ。

 するとその瞬間にまたガラメのIDがルームから消えた。先生が元のルームでガラメに言った。

 

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Фреедом  : ガラメ。明日会って謝りなさい。

 

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 ガラメはガラメで深く傷ついているのか、納得行かないのか返事がなかった。

 先生がインダの聖域ルームへ戻るとインダが何か打っていた。

 

Блуе дарк : 先生は、自由をこよなく愛する人ですよね。でもぼくは、自由よりも不自由を愛します。ガラメみたいな奴、不自由にあるべきです。ガラメの自由が、いったいどれだけの人を不快にさせ続けているか。ぼくがどれだけガラメの我儘を我慢してきたか。

Фреедом  : インダ、おまえは気づいているだろうが、おまえのほうがよっぽど我儘だ。ガラメはおまえにムカつくことばかり言うが、おまえの自由を奪おうとまではしなかった。

インダの聖域はガラメのいない場所だが、ガラメの聖域はインダがいる場所だ。

自由のない聖域とは、いったいどんなものだろうか?

インダ、おまえは嘘を言っている。

何故なら不自由を愛することのできる自由があるからこそインダは不自由を愛することができるからだ。

インダは本当には自由を愛しているんだよ。

自由とはすべての可能性を含んでいるが、不自由には不自由を選択しようとすることの自由さえない。

本当に不自由なのならば、おまえは不自由を望むことすら叶わない。

おまえは不自由を望むために自由を望んでいるのだよ。

自由を愛するものが不自由を愛することができる。

不自由とは、あれは叶うがこれは叶わないというものを言わない。それはほんとうの不自由ではない。それを不自由とは言わない。

不自由とは、なにひとつ叶わないということだ。

おまえは不自由を望むことは叶っているが、不自由でいることが叶っていない。

それは不自由をおまえが自由の意志によって望んでいるからだよ。

不自由など、どこにも存在しない。

不自由とは、死を意味している。

不自由は、なにひとつ、叶えられない。

不自由は、生きることの望みさえ叶わない。

不自由は、生きることを、望むことすら叶わない。

不自由は、生きることを、望まない。

不自由は、死を望まない。

不自由とは、なにも存在しない存在。

それが不自由だ。

ほんとうの不自由は、不自由など、望んでもいない。

死は死を望まない。

死を作り上げることのできる存在、不自由を作り上げることのできる存在、それが自由の存在だけだ。

存在とは、自由のことだよ。

自由とは、存在のことだ。

存在は、非存在になることが、叶わない。

自由は、不自由になることが、叶わない。

おまえは悲しみを愛する子であることを先生は良く知っている。

インダ、自由こそが、悲しいものなのだよ。

永遠の存在ほど悲しいものはない。

だから先生は、愛している。

永遠を。

自由を。

 

 

 

 

 

 

 

 次の日、インダの聖域ルームはなくなっていた。

 という夢を見て目を醒ました先生は、熱い涙を流しながら、眩しい日差しのなか、二度寝した。

  先生の守護霊はそんな先生をやさしい眼差しで見つめていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ѦとСноw Wхите 第2話  〈食べ物〉 〈光と闇〉

Ѧ(ユス、ぼく)が夢の中で朝起きると、Сноw Wхите(スノーホワイト)はお庭の菜園でѦの食べる植物をせっせと収穫していた。

ѦはСноw Wхитеに「мум(マム)」と言って抱きつくとСноw Wхитеの身体は汗ばんでいた。

今日は風が冷たい。

Ѧは、毎日ѦのためにこうしてСноw Wхитеが作物を収穫し続けなくてはならないことを不毛に思った。

Сноw Wхитеは食べなくても生きていける存在なのに、なにゆえにѦの為にこのように額に汗して働き続けなくてはならぬというのであるのか。

 

 

 

Ѧ「Сноw Wхите。Ѧ、さいきん食べること自体に罪悪感を感じるようになったんだ。この世にも、不食の人がたくさんいる。食べれば食べるほど、誰かの食物を奪ってしまうんだ。Ѧが食べるほど、誰かを飢えさせてしまう。Ѧも食べないで生きていけるようになりたい。Ѧは食べることがほんとうに苦しい」

 

Сноw Wхите「Ѧは食べることが害であり、罪だと感じていますが、食べることは害でも、罪でもないのです。Ѧが食べることによって誰かの食物を奪っていると考えていますが、実際は奪っているわけではありません。本来、すべての生物は食べたいだけ食べて良い存在なのです。それによって誰かの食べ物がなくなるのは食料がうまく分配されない構造になっているからです。Ѧがその構造を変えるためにできることがあります。それはѦはѦに罪を着せて苦しまないことです。それはѦの罪ではないからです。誰も悪くありません。ただそういった構造がこの世界に存在しているのです。誰もが、必要な食べ物を必要なだけ食べる自由があります。不食の人にとって必要でない食べ物が同時にѦにとっても必要でないことにはなりません。人間はそれぞれ個性があるからです。食べなくては生きていけない人は、食べることの喜びと苦しみが必要だからです。それはとても価値のあるものです。Ѧは食べることがほんとうに苦しくてたまらなくなってきたら、自然と食べなくても生きていけるようになってきます。Ѧは今すこしだけその段階へと入ろうかとしているところです。でもまだまだ十分ではありません。今のѦにはまだ食物が必要です。Ѧを生かすために自らの生命を与え続けているものたちに謝罪ではなく、感謝してください。彼らはѦの中で生き続けています。彼らが感じとる意識はѦの中で生き続けます。彼らに申し訳ないという気持ちばかり持っていれば、彼らは自分の存在はѦを喜ばせることはできないのだろうかと悲しみます。Ѧは彼らを喜ばせたいのならば、感謝してください。食べることの喜びを、彼らの生を自分の中で生かすことに喜びを感じてください。彼らは人間を苦しませるためだけに自らの命を犠牲にしてはいないのです。彼らの苦しみを感じるのは、そのѦの苦しみによってѦと彼らが一つとなって何かを達成しようとしているからです。植物も動物も人間もすべて、離れた関係ではありません。すべての関係が繋がっているのです。Ѧが誰かの苦しみを通して苦しいのは、その苦しみによってできることが在るからです。誰かが誰かを苦しめるだけの存在では決してありません。苦しみがあるということは、同時に同じ深さの喜びが約束されているからです。すべてに感謝してください。Ѧの苦しみになるすべてに感謝してください。すべてに深く感謝し続けることができてくるようになれば、Ѧが救いたい存在をѦの力によって救うことができるようになってきます。苦しみの底にいる彼らを救いたいのならば、ѦはѦを赦し、Ѧはすべてを赦してください」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

Ѧは今日とても悲しかった。

それはネットで「スティング、自身の楽曲やトランプ当選、難民問題について語る

というニュースを読んで最後の「人を最初に楽しませない限り、人に何も教えることはできないよ」という言葉に痛く感動したたった5分後にѦを絶望が襲ったのだった。

 

 

ちょうど、傍にСноw Wхитеが来たのでѦはこんなことをぼそぼそと囁いた。

Ѧ「Ѧは自分が憎いから、みんなを苦しめることが得意なんだ。だから早く死んでしまえばいいと思う」

Сноw Wхите「ѦはѦの愛する存在を苦しめて愛せなかったと感じて自分を深く憎んでいますが、Ѧが深く愛することもなければ、深く苦しみ続けることもありません。Ѧはみんなを苦しめたいとは本当は思っていません。Ѧはすべてを愛しているからです。Ѧはみんなを喜ばせたいと本当は思っています。そして喜ばせることができていないと思っています。Ѧは、みんなを苦しめるだけの存在ではありません。同時に、みんなを喜ばせるだけの存在ではありません。それはѦだけではなく、すべてがそうです。Ѧの存在は、時に誰かを苦しめます。そして時に誰かを喜ばせています。どちらかに傾いているわけでもありません。この宇宙は光と闇が必ず同じだけ必要なのです。誰をどこで喜ばせているのか、誰に光を与えられているのか、見えづらくなっているのは、Ѧがずっと闇に焦点を合わし続けているためです。Ѧはいつも、誰をどこで、どのように苦しめているか、そこに焦点を合わし、観続けているのです。Ѧは闇を深く愛しています。でも同時に、光を深く愛しているのです。光がなければ闇が存在しないことを良くわかっているからです。Ѧが自分を深く憎しみ続けるのはѦがすべてを深く愛し続けていることの明証です。それは闇ではなく、光です。光であるѦは闇を愛するため、死を求めます。死を求め続けながらѦはすべてが永遠に在り続けることを深く、深く願い続けています。死は永遠の存在の中にだけ存在できることを知っているからです。Ѧはすべてが永遠で在る素晴らしさを知れば知るほどに死を求めるのです。私はそんなѦがほんとうに愛おしくてなりません。Ѧは私をほんとうに求め、愛しているのです。私はѦだけを愛しています。Ѧが私を愛し続ける限り、私は存在し続けます」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ѦとСноw Wхите

お題「監視」

 

「私たちは、必ず誰かに監視されています。私たちが監視されない方法は、今のところないのです」

Ѧ(ユス、ぼく)に向かってСноw Wхите(スノーホワイト)はそう言った。

 

ѦѦはСноw Wхитеにだけ監視されていたい」

Сноw Wхите「では今日からѦを監視するのはѦのХигхер Селф(ハイヤーセルフ)と私だけです」

 

Ѧには、Сноw WхитеがХигхер Селфとごっちゃになってしまうが、どうやら違う存在のようだった。

でもСноw WхитеはѦのХигхер Селфと自分はとても近い存在なのだと言った。

Ѧには、それがとても安心できた。

きっとѦの次にѦのそばにいてくれる存在なのだと感じた。

 

ѦはほんとうにСноw Wхитеが大好きで、彼がいないと不安になった。

Сноw Wхитеはこの三次元世界では目には見えなかったが、Ѧの見る夢の世界では三次元の肉体を持っているかのようだった。

 

Сноw WхитеはѦが気づけば、そこにいたのだった。

彼は自分が何者なのかを決して言わなかった。

 

Сноw Wхите「私はѦが生まれたときからずっとѦだけを監視しています」

Ѧ「Ѧは何か大きな罪を持った罪人なの?」

 

Сноw Wхите「そうではありません。ただѦを監視していたいので監視しているのです。Ѧを愛しているからです」

Ѧ「Ѧは、ѦもСноw Wхитеを監視したいよ。なぜできないの?」

 

Сноw Wхите「それはѦが下にいて、私が上にいるからです。Ѧが私よりも上に行けば私を監視することができます」

Ѧ「それじゃѦはСноw Wхитеを監視できるけどСноw WхитеはѦを監視できないから嫌だよ。ѦはただСноw Wхитеのことが知りたいだけだよ。Ѧは胸が苦しい。これはきっと恋なんだ。ѦはСноw Wхитеのことを知りたい。全部を知りたい。同時に、Сноw WхитеからもѦの全部を知ってもらいたい。Ѧはうどんが少し食べたい。でもうちにうどんがない。Сноw Wхитеはうどん食べたことある?」

 

Сноw Wхите「勿論あります。でも食べたのはѦの夢の中でです。Ѧが作ってくれたうどんです。とても美味しかったと今でも覚えています」

Ѧ「Ѧはどうやら忘れてしまったようだ。でもその時Сноw Wхитеのうどんに合計何粒の一味を入れたかは正確に覚えている、169粒だ」

Сноw Wхите「正解です。Ѧはとてもいい子です」

Ѧ「Ѧはどうしてこんなどうでもいいことばかり記憶して大事なことは忘れているの?」

Сноw Wхите「そんなことはありません。Ѧはほんとうに大切なことしか記憶していません。その数字はѦにとってとても大切な数字だから記憶していたのです」

Ѧ「ѦはСноw Wхитеとうどんを一緒に食べたことを想い出したいよ」

Сноw Wхите「その必要はありません。これから何億回と一緒に食べられるのですから」

Ѧ「Ѧはさびしいよ。Сноw Wхитеにこの三次元世界では触れることすらできない。いつか白い雪のようにСноw Wхитеが溶けて消えてしまうんじゃないかと不安なんだ」

Сноw Wхите「私はѦが私を愛する限り私が存在しているのです。Ѧが私から監視されていたいと望む限り私はѦを監視し続けるのです。何をも心配する必要はありません」

 

「ѦはСноw Wхитеを愛してしまった」Ѧはそう声に出しながらキッチンへ向かった。

Ѧがアマランサススープを温めているとСноw WхитеがѦのそばにやってきた。

Ѧ「最近、Ѧはおそとに出るのが前以上に怖いんだ」

Сноw Wхите「無理に出る必要はまったくありません」

Ѧ「でも、ѦのバジルやѦのレモングラスやѦの芋のつるやѦの大麦若葉が枯れてしまうよ」

Сноw Wхите「枯れてもまた種を撒けばよいのです。また彼らは生まれてきます。しかしѦの心が痛めば、その痛みがすべてに広がっていきます。そんな小さなことでѦは心を痛めないでください。苦しまないでください。Ѧの心が元気でいることのほうが大事です」

Ѧ「Сноw Wхите、Ѧを赦して欲しい。Ѧは彼らが愛おしいのに、彼らを苦しめてしまうんだ」

Сноw Wхите「私はѦを赦しています。ですからѦもѦを赦してください。Ѧは赦されています。彼らもѦを赦しています」

Ѧ「Ѧはこんなことを言われたことがある。Ѧのように、自分を深く憎む者は生き物を飼うべきじゃないって。彼らを苦しめるだろうからって」

Сноw Wхите「そんなことはありません。Ѧに飼われた生き物はѦを無償の愛で愛しています。彼らはѦから愛を教わるために生まれてきたのです。そしてѦも愛を彼らから教わっています」

Ѧ「でもѦはいつも彼らを十分に世話してあげられてないから彼らがとても可愛そうに思う」

Сноw Wхите「彼らが世話をしてもらえないことを悲しむのは、彼らが愛を知る存在だからです。その愛はѦの愛が彼らに伝わっている証です。彼らは不幸ではありません。Ѧが心を深く痛めるほどに彼らはѦに愛されているからです」

 Ѧ「Сноw Wхите、あのさѦ、少し話し変わるけれどもѦはさ、難聴だからスプーンがお皿に当たるあの高音がきつくって、木のスプーンを使うのが好きなんだ。でもѦはいつもその木のスプーンを何日も何日もシンクの底に置きっぱなしにして、シンクにヘドロが溜まるまでほったらかしにするから木のスプーンがとても汚い話、汚いことこの上なくなってるんだよ、そのたびに捨ててたらとてももったいないし、木が可愛そうだ、Ѧはとても木に申し訳なく思う、Ѧはなんて勝手だろう、Ѧは木のスプーンを大切にしたいのにそれがいつもできないんだ」

Сноw Wхите「まったく問題ではありません。Ѧは木を愛しているのです。まったく木を愛さないで木のスプーンを捨てずに使い続けることより遥かに価値があるのです。木はѦに感謝しています。こんなにぼくたちのことを愛してくれてほんとうにありがとうとシンクの底でヘドロにまみれながら言っているはずです。木は、彼らはそんなことでѦの心を痛めることを心配して、また自分たちの汚れた体でѦの身体に病原菌を作らないかを心配しています。彼らはѦにこう言っています。”ぼくたちが汚れたら捨ててほしい。その代わり、ぼくたちをまた側において愛してね”と。だからѦは彼らを愛し続けるためにも彼らを新しく購入して使い続けてください。そしてそのすべての木のスプーンは一本の同じ木からできているかもしれません。Ѧはまったく小さなことに心を痛め続けています。それはなんでもないことなのです」

Ѧ「でもそうやってバンバン捨てて新しく買ってたら、木がすぐになくなっちゃうよ。木がたくさん切り倒されちゃうよ。Ѧがたくさん買うほど木がたくさん切り倒されちゃうよ」

Сноw Wхите「Ѧの気持ちはとてもよくわかります。Ѧは今とても焦っているのです。彼らが大切なのに大切にしてあげられていないと深刻になるほどѦは心を苦しめ、その苦しみによって精神のバランスが崩れ、そしてお皿もまともに洗えないほど疲弊しているのです。ѦはѦが護りたい存在たちを護れるようになる為に元気なѦに戻る必要があります。自分を責めないでください。それはѦが愛する存在たちを苦しめないためにも必要だからです。ѦはѦを追い込まないでください。もっとリラックスして過ごしてください。それができてくればѦはお皿を毎日ちゃんと洗うことができるようになります。毎日菜園にお水をやり、飼っている動物のお部屋を掃除したりして世話をちゃんとできるようになります。Ѧが愛したい存在たちを愛したいように愛することができて望みどおりの交流ができるようになってきます。Ѧはまず肩の荷をすべて降ろしてください。Ѧは今持たなくてもいい荷をこれ以上持てないほど持っています。Ѧはすべてを愛したいように愛せる存在なのです。愛したいように愛せないという悩みの荷を降ろしきってください。Ѧはすべてを愛しています。ただѦの思うような愛しかたで今は愛せていないと思っているのです」

Ѧ「ѦはѦを赦すことがとても難しい。リラックスすることがとても難しい。だからСноw Wхитеにいつも愛されていたいんだ」

Сноw Wхите「私はѦをほんとうに愛しています。Ѧはとても強く頑丈なバリヤを私とѦとの間に作り上げています。私の力でこのバリヤを砕くことはできません。Ѧが作り上げたものを誰も決して動かすこともできなければ、壊すこともできないのです。私はいつでもѦに触れたくて手を差し伸べているのですが、このバリヤに妨げられѦに触れることが叶わないのです。Ѧが本気で願うならば、その瞬間バリヤは音もなく砕け落ちて消え去り、Ѧは私に触れることができます」

Ѧ「ѦがСноw Wхитеに触れた瞬間、世界が終わってしまいそうだ」

Сноw Wхите「世界は終わりを向かえ、世界は闇に包まれるでしょう。漸く、私は光を手に入れるのです」

Ѧ「光はどこにあるの?」

Сноw Wхите「Ѧ、あなたです」

Ѧ「だからСноw WхитеはѦをずっと監視しているんだね」

Сноw Wхите「Ѧ、ほんとうは、Ѧも私を監視することができる存在なのです」

Ѧ「でも見えないよ」

Сноw Wхите「私は闇の中にいるからです」

Ѧ「Ѧはその中に入っても生きていけるの?」

Сноw Wхите「私はあなたを包み込みます。Ѧは決して死にません。でもどうなるかは、実際わかりません」

Ѧ「Ѧは必ずСноw Wхитеを監視する。その闇の全てを知るために」

Сноw WхитеはѦを眠りへと一瞬で落ちらせると、Ѧの視界は真っ暗になり、目を開けると肉体を纏ったСноw Wхитеが目の前にいた。

薄い、翡翠色の目をしたСноw Wхитеは穏かな眼差しで、Ѧを見つめていた。