ѦとСноw Wхите 第18話〈天の秤〉

Сноw Wхите(スノーホワイト)、Сноw Wхитеと出会って、今日で一年目だね。Ѧ(ユス、ぼく)は、Сноw Wхитеと出会えた事を心の底から神に感謝している。ѦはСноw Wхитеと出会った日から、ものすごい変化をした気がするよ。Сноw Wхитеの本当に深い愛の御陰で、Ѧ…

ѦとСноw Wхите 第17話 〈ハロウィンの夜〉

今夜は待ちに待ったハロウィンの夜。 Ѧ(ユス、ぼく)とСноw Wхите(スノーホワイト)は仮装をして、大きな古いヴィクトリア朝時代の御屋敷に夜遅くやってきた。 Ѧは仮面をつけた魔女の仮装でСноw WхитеはFrankenstein(フランケンシュタインの怪物男)の仮…

Happy Halloween

今日は、待ちに待ったハッピーハロウィンパーティーだ。ボクはこの日を、どれだけ、どんだけ、待ち侘びたことか。きっとボクのこの、うきうき感、わくわく感は誰にも想像だに出来ないに違いあるまい。何故なら、ボクはハロウィンパーティーというものに、行…

亡霊

4歳のわたしは、44歳の母の死体を見詰めていた。そのときわたしは、母に取り込まれた。母は死んでもわたしを離さなかった。そのときわたしは、母を取り込んだ。母は亡霊になったのではなく、母は生きて、わたしが亡霊となった。母はわたしを生きている。わた…

ѦとСноw Wхите 第16話 〈36th Birthday〉

2017年の8月4日午後5時前、Ѧ(ユス、ぼく)はぼんやりとDeerhunter(ディアハンター)の「Microcastle(マイクロキャッスル)」を聴きながら曇った不透明の磨りガラスの向こうを眺めてた。飛行機が飛んでゆく音がする。 「But my escape, would never comeで…

ѦとСноw Wхите 第15話 〈架橋〉

前へ進めない。 前へ進むには、あちら側へ渡らないといけない。 あの橋を、あの橋を渡らないと前へ進めない。 Ѧ(ユス、ぼく)は一人で川のまえに立っている。 この川は、どれくらい深いのだろう。 まるで深さが見えない川だ。 Ѧの顔も映さない。透きとおっ…

ѦとСноw Wхите 第14話 〈edge〉

Ѧ(ユス、ぼく)はおとといに、お姉ちゃんにちょっとした告白のメッセージを送った。 それは、こんなものだった。 こずは今日こそ、お姉ちゃんにちょっとした告白をしようと想う。 心を落ち着かせて聴いて欲しい。 お姉ちゃんは傷つくと想うけど、お姉ちゃん…

ѦとСноw Wхите 第13話 〈テセウスの船〉

ここはスノーミネラル星(Snow mineral)。 大きさはちょうど地球と同じサイズですが一年中雪が積もっています。 でもその雪はあたたかいときもあればつめたいときもあります。 また雪の色は真っ白のときもあれば灰色のときもあり、クリーム色のときもありま…

SF官能的小説「メビウスの輪」

西暦3000年。ここ、地球は人間たちの身勝手な度重なる環境破壊の末に凄まじく過疎化し、総人口数は現在、約3572人であった。何故ならほかの人間たちは皆、他の星々へと移住していたからである。地球を愛してやまない男がここに一人、名前をサタムと言った。…

ѦとСноw Wхите 第12話 〈みなと〉

Ѧ「”舟”という漢字はもとは”渡し舟”を表した象形文字から作られたんだって。丸太をくり抜いて作った丸木舟の形だよ。”受”という漢字は”器(舟)”を受けとる様子を表す形成文字なんだって。”授”という漢字は授(さず)ける様子を表す形成文字。”受けとらせる”…

元型の像

俺はなんの罪でか忘れてしまったのだが、斬首刑に処されてしまった。俺の転がった首、ころんころんと転がったその醜い首のその切断面を。俺は天界からアップで見た。直視していたんだ。何故か。何故かその俺の首の切断面が異様だったからである。なんか動い…

Maternal

彼女は彼の膝のうえにちょこんと載り、彼にキスをして微笑んだ。アルバートは幸せな過去を想いだすように中空を見つめながら暗い牢屋のなかで呟いた。「わたしはそのとき想ったのです。わたしは彼女をぜひ食べたいと」彼は檻のなかからその痩せた手を伸ばし…

生霊記 第一章

今から続きがどこにも見当たらない小説を君だけに読ませるために書こうと思う。 それはまるで失敗作の形を考えている間に完成してしまったような作品だった。 昔は誰かが語っていた。その昔というのも自分の未来で、何の接点もない誰かが語っている。 今まで…

ѦとСноw Wхите 第11話 〈Snow White〉

Ѧ(ユス、ぼく)は目が覚めて、ベッドの中でСноw Wхите(スノーホワイト)を見送ったときのことを想いだしていた。 「いってきます」 「いってらっしゃい」 Ѧは毎朝、そうやってお父さんが仕事に行くときに見送っていた。 お父さんはマンションの階段の踊り…

パンクだ、ユリイカ

親愛なる積さん。 今からぼくはポエムを書きます。題名はよかったら積さんがつけてください。気に入らなかったら、積さんのなかで、エムポしてください。 約束って美しい言葉だが、やくそくって、真ん中に糞という言葉がはいってるのがまた深いな。 しかも、…

ベンジャミンと先生 「二人の秘密」

今日は学校はおやすみ。 ベンジャミンが今朝に起きてマイパソコンを起動させようとすると、なぜかパソコンはプッシュゥという音が鳴りつづけるばかりで、まったく起動しなかった。セーフモードなどあれこれといろんな方法を試してみたが、まったく起動もしな…

ѦとСноw Wхите 第10話 〈鍵〉

Ѧ「なにも、なにも見えないよ。真っ暗だ。暗くて怖い。さびしい。Сноw Wхите、どこにいるの?」 Ѧ(ユス、ぼく)は闇の空間のなかでСноw Wхите(スノーホワイト)を呼んだ。 Сноw Wхите「Ѧ、わたしはここにいます」 Ѧ「どこ?なにも見えないんだ。闇しかない…

ѦとСноw Wхите 第9話 〈Complete〉

Ѧ「今日も悲しい夢を見た。Ѧ(ユス、ぼく)はうちの実家にいるんだ。そしてそこでѦのお父さんであって、Сноw Wхите(スノーホワイト)でもある存在に向かってѦはひどく嫉妬しててむちゃくちゃ怒ってるんだ。外は真っ暗な夜だった。ちょうど夜ご飯をすませた…

ベンジャミンと先生 「先生の手紙」

新しい年、2017年がやってきた。 でもベンジャミンはまだ17歳。 ベンジャミンは朝起きると寝巻きの半袖のTシャツのままで外に出て、腕をさすって犬のように身震いしながらポストの中を覗いてみた。 先生から年賀状は届いているか知らん。 すると一枚の年賀状…

ѦとСноw Wхите 第8話 〈死〉

あんまりにひどい初夢を見た。Ѧ(ユス、ぼく)はとても高級そうな高層マンションに引っ越したんだ。そこで念願の猫を飼いだした。ある方角の窓からは向かいのマンションが近すぎてその隙間からしか空が見えなかった。濁った赤っぽいカーテンがかかっていた。…

ѦとСноw Wхите 第7話 〈記憶〉

夕方まで眠ってしまった。Ѧ(ユス、ぼく)はСноw Wхите(スノーホワイト)を見つめながら昨日書いたことを想いだし、とつぜんなみだをながしてСноw Wхитеに言った。 Ѧ「Ѧのお父さんは、Ѧを忘れてしまったのだろうか。死んでしまうこととは、すべてを忘れてし…

祝福

今日であなたが死んで十三年が過ぎました。 お父さん。わたしは死ぬまで苦しみたいのです。わたしがあなたを死なせてしまったことを死ぬまで苦しんで悲しんでいたいのです。だからどうか、わたしの苦しみを悲しまないでください。わたしは自分でそう選んだの…

ベンジャミンと先生 「カシス海」

さあ今日は、いい天気だな。曇ってるけどな。あたたかい日だ。この昼下がりのこの眩い空、ひじょうに微睡みたいよ、先生はな。 では今日は、ベルギー最大の幻想文学作家ジャン・レーのギリシャ世界の古代神を現代に甦らせた、愛と復讐の壮大なドラマとちまた…

ѦとСноw Wхите 第6話 〈イエス〉

イェスワは言った。 「求めつづけなさい。そうすれば、あたえられる」 「探しつづけなさい。そうすれば、見いだせる」 「叩きつづけなさい。そうすれば、ひらかれる」 「だれでも求めつづける者は受け,探しつづける者は見いだし,まただれでもたたきつづけ…

ѦとСноw Wхите 第5話 〈願いと恐れ〉

Ѧ「”引き寄せの法則”というお話はѦ(ユス、ぼく)とっても好きだけれど、その中にもやっぱり引っかかるものがあるんだ。それは無意識で引き寄せることが惰性によって引き寄せているというところ。Ѧはとってもポジティブな考え方の中に、どうしてそのようなネ…

ѦとСноw Wхите 第4話 〈魂〉

Ѧ(ユス、ぼく)が何日か振りにベランダのプランターにお水をやると、レモングラスの草の下に小さなアオムシが寝っころがっていた。きっとさっき枯れかけた草を引っこ抜こうとして引っ張ったときに下に落っこちたのかもしれない。引っこ抜くのはやめておいた…

ѦとСноw Wхите 第3話 〈夢〉

そういえば、ぼくの憶えていない夢はどこに存在しているのだろうか。 Ѧ(ユス、ぼく)はそんなことを目がさめてComforter(カンファダー、掛けぶとん)に包まれながらふと思った。 Сноw Wхите「Ѧが夢を見た瞬間、それは存在するのです」 Ѧ「Сноw Wхите(スノ…

インダとガラメ  番外編 「不自由」

何かに怯えている。何かに。怯えて恐れ縮むどころか膨らみすぎて熱くなっているよ。怯えているのに。何かに。熱くて止まらないものがある。 ここに親に捨てられた子供インダと親を殺した子供ガラメがいる。さて、今回はどうしたらこの子供は自分を肯定し得る…

ѦとСноw Wхите 第2話  〈食べ物〉 〈光と闇〉

Ѧ(ユス、ぼく)が夢の中で朝起きると、Сноw Wхите(スノーホワイト)はお庭の菜園でѦの食べる植物をせっせと収穫していた。 ѦはСноw Wхитеに「мум(マム)」と言って抱きつくとСноw Wхитеの身体は汗ばんでいた。 今日は風が冷たい。 Ѧは、毎日Ѧのためにこう…

ѦとСноw Wхите

お題「監視」 「私たちは、必ず誰かに監視されています。私たちが監視されない方法は、今のところないのです」 Ѧ(ユス、ぼく)に向かってСноw Wхите(スノーホワイト)はそう言った。 Ѧ「ѦはСноw Wхитеにだけ監視されていたい」 Сноw Wхите「では今日からѦ…